変動金利で良い理由③④⑤

前回の続きで、金利が上がりにくい理由として残りの項目を解説していきます。

③人口の減少
④為替の影響
⑤インフレが進まない
⑥日本人の金融リテラシーの低さ
⑦残高が多い時に金利が低い方が良い

③人口の減少

日本は人口減少により、経済が縮小していくことが予想されます。
2020年9月に厚生労働省が発表した2019年人口動向統計(確定数)によると出生率は前年1.42より低下し1.36となりました。

出生率というのは、人口に対してどのくらい子供が生まれているかの割合を示すものですが、2を下回ると人口が減少します。年間の自然増減数はマイナス51万5854人。(宇都宮市の推計人口が約52万人弱なので、1年間で宇都宮市の人口分がいなくなっているということですね)

日本の人口推移と今後の予測↓

引用:国土交通省

どんなに多く見積もっても、日本人は減っていく見込みです。

人口増加が期待出来るのであれば、より多くの製造・生産をしていくために、設備投資が必要となり、資金の借り入れが必要になっていくため、金利は上がっていく可能性が高くなります。

一方で人口減少により、国内需要は下降の一途を辿る可能性が高く、多少の経済対策をしたところで、需要が減れば借り入れは増えず金利は低下しやすくなります。

そして、人口が減るということは、日本国内の空き家物件が多くなり、不動産価格が下落してきます。そんな中、もし金利まで上がってしまったら、不動産業界は二重苦になってしまいますね。

また、働く人口割合よりも、年金受給者の割合が多くなっていき、年金受給額の減少と共に年金生活者の困窮がより話題となることで、年金不安による貯蓄へと意識が向かいやすいことを考えると金融機関にお金が集まり、やはり金利低下を招くこととなります。

④為替の影響

日本の人口が減っていくことが、もう避けられない現状で、
国内需要が減るため、海外向けへの販売が多くなっていくと思われます。
世界の平均出生率は2.4程度なので、世界的には人口は増えていくと思われます)
世界の合計特殊出生率 国別ランキング

そうなると海外で売ったものを円に換える(円を買う)ために、円高になりやすい。

円安であれば、国内に入れる時に多くの円が買えるため、海外での値下げが出来るため競争力が強まりますが、円高であれば、競争力が弱まります。
競争力が弱まることで売れずに不況を招き低金利に繋がります。

そして円高は、輸入する際安く買えるため、輸入価格が安価になる

国内物価が低下(デフレ)

金利が低下
(付け加えて、デフレはインフレの逆なので通貨の価値が上がっていきます。そのため、より円で預金しておくと価値が上がっていくため預金残高が増え、金融機関にお金が余ることとなり金利は低下します)

もし、金利が上がろうとすると、金利スワップ(通貨の金利差から生じる利息)の影響で、その金利が高くなった通貨が買われやすくなり、日本の金利が上がるとより円高になりやすくなります。

なんでこんなに借金大国なのに円高?

円高というのは、円の価値が高いということです。リーマンショック・東日本大震災・コロナショックなどの不況や災害といった不安を感じることが起きると、なぜ円が買われ、円高になるのか?ということを不思議に思う方も多いと思います。
その理由の大きな要素となっているのは、対外純資産が多いからです。

引用:グローバルノート 世界の対外純資産 国別ランキング

日本は一番多くの対外資産を保有しています。逆に(意外かもしれませんが)一番外国に資産を持っていない国はアメリカです。

日本の借金は、国内向けに債券を発行しています。そのため、国がお父さん、(金融機関や)国民をお母さんだとすると、お父さんはお母さんにお金を沢山借りているが、(世帯でみると)日本家は、アメリカ家やイギリス家など、他のお家にお金を貸してあげていて、資産を外に沢山持っているため何かあれば、『返して!』と言って戻してもらうことができる。そのため、世界経済が不安になったら、周りのお家で一番裕福そうな日本家が一番安全そうだから、日本家にお金を預けて置こうとするという感じですね。

対外資産が多いということは、日本国内で資産が必要になった時には、その資産を売り払って円に戻すという動きがあることから、リスクを避けたいという状況下では、『リスクオフ』と言って投資家やヘッジファンドなどはこぞって円を買う動きになります。そのため、円高が起こるというわけです。

⑤インフレが進まない

日本政府や日銀は2%のインフレを目指して動いてきましたが、インフレを表す数値として使われる消費者物価指数(CPI)ですが、全然2%を達成できていません。2014年に上昇しているように見えるのは、その年に消費税が8%に上がったからです。基本的に横ばいです。

引用:Wikipedia

日本の国民はインフレが継続的に起こるものという概念がほとんどありません。そのため、早いうちに物を購入しておこうという意識よりも貯金をしておこう。企業は内部留保しておこうと考え、金融機関から借り入れを起こす割合は減っていきます。

そのため、やはり金利は上がりません

世界から見た日本のインフレ

外国のインフレ率を見てみましょう↓

引用:総務省統計局

ほとんどの国が日本よりもインフレ率が高い状態です。日本のように、一定期間継続してデフレを起こすような国は世界的に見ても稀です。日本より海外の方がインフレ率が高いということは、海外の通貨の価値が下落するということなので、相対的に円の価値が上がる。すると円高になってきます。先ほど、ご説明したように円高になるということは、金利が上がらないということに繋がってきますね。

次回⑥と⑦をご案内します。⇒変動金利で良い理由⑥⑦

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